こんにちは。わたしは、軽くて丈夫な素材でUL(ウルトラライト、超軽量)バッグを作っています。
アンティークミシンを使う
私が使っているミシンは、メーカーはJANOME、型番はTA-761です。アンティークミシンと言われるものですが、50~60年前の製品のようです。
こちらはメルカリで購入しました。職業用アンティークミシンは数はあまり出回ってないようですが、巡り会えたら、飾っておくだけではもったいない。動く姿は重厚感があってとてもかっこいいです。
ただ、ミシンの説明書がなかったり、近くにミシンに詳しい人がいない場合、このミシンを動かすことが難しいこともあると思います。私自身、色々資料やネットを漁って、試して、なんとか使えるようになりました。そこで、これからアンティークミシンを使うという方へ向けて、糸の通し方など使い方をまとめてみようと思いました。
工業用と同じく鋳物と鋼でできていて、頑丈で安定感があります。手回しでも動くので、メンテナンスをすれば一生ものです。
アンティークミシン専門で修理を行なっているところもあります。
直線縫いしかできませんが、その構造のシンプルさがまた良しです。薄いオーガンジーのような生地から厚いデニムや革まで縫えます。
ミシンを整える
縫う前に、ミシンの調子を整えます。
グリスアップ
まず、半円のフタをドライバーで開けて、中に溜まっている埃を綿棒などを使って取り除きます。
メンテナンスとして、油を差します。わたしはエーゼット油を使っています。ミシンの本体にはいくつか穴が空いており、駆動部へ繋がっています。その穴に全て油を差します。ポトっと1滴ずつ。これで動きがかなりスムースになります。溢れてしまった油はティッシュなどで拭き取ります。オイルは万が一漏れても困らないように、ジップロックに入れて保存しています。
ミシンを使う頻度や季節にもよりますが、月に一度くらいのペースで、同じ要領で油を足すといいと思います。
部品の調整
踏むと自動で縫えるフットペダル&モーターが付いている場合は、モーター駆動ベルトが伸びて緩んでいることがあります。
わたしが購入したミシンは、ベルトが伸びていました。
そういうときは、新しいものに交換してしまいます。サイズがあるので測ってから購入しましょう。
TA-761には、三星MBミシンベルトのMB360がぴったりでした。
サイズを間違えて購入してしまった350もあるのですが、下糸をボビンに巻きつけるためのベルトに使えました。(よかった)
そのほかの部品も、古くなったり、傷だらけになったりしたら、都度交換します。
下糸をセッティングする
ボビンに下糸を巻き付けて行きます。
ボビンはこちらを使っています。職業用ミシンに汎用的に使えるようです。
ボビンは下糸巻きにこのようにセットします。
ボビンを回すと、ボビンの穴が空いているところに、下糸巻きの留め具がカチッとハマります。
下糸をミシンの上の糸置きやミシン糸立てに乗せて、糸をボビンに通します。
ミシン糸が付属の糸立てに乗らない場合は、外付けの糸立てを使っています。この糸立ての固定がちゃんと分かっておらず、もっと良い形がある気もしますが、これで縫い続けています。たまに手が当たってしまったりして、ぴょ〜んと落ちてしまうこともあります…。
糸をボビンまで持っていき、ボビンの穴の1つに通します。内側から外側に向かって、10cmくらい出します。下糸巻きのボビンの真上くらいに引っかけがあるので、そこを通してセット完了です。
あとは、フットペダルを押してくるくるとボビンに糸を巻き取って行きます。下糸巻きは自動で止まらないので、フットペダルを離して止めます。下糸をボビンに巻けたら、ボビンケースに入れます。
職業用ミシンなので全回転釜です。糸が時計回りになる向きにボビンケースにボビンをはめ、ボビンケースを針の下の回転釜にカチっと押し込みます。
針をセッティングする
職業用ミシンでは、針はDB×1を使うのがよいようで、DB×1を使っています。
ドライバーで針を固定しているネジを緩めます。
針には、穴が空いている付近に、片面カンナで削ぎ落としたような窪みがあって、それがミシンの内側に来る向きでセットします。
手でネジを締めてある程度セットしたら、ドライバーでも締めてしっかり固定します。
ミシンの真横から見たときに、針の穴の向こうが綺麗に丸く見えることを確認します。
針の太さと糸の太さは、また別の記事にまとめますが、生地や目的によって相性があります。わたしはアウトドアギアを薄い生地で作ることが多く、糸は30番(〜60番)、針は9号を使っています。
上糸をセッティングする
さて、もう少しです。上糸を糸立てから引っ張ってきます。
針の上部にある穴が3つ空いた所に、こんな風に糸を通していきます。ここで、上糸の調子を調整することもあるみたいです。
わたしは常に上糸はこの掛け方をしていて、特に変えることはありません。糸調子をするときは、上糸ではなく下糸で調整するようにしています。
次に、糸調子ダイヤルの下から、ダイヤルの中に糸を通します。
ダイヤルの引っ掛けに糸がかかりました。
このように糸を張ってきたら、ミシンの内側に向かって、針に糸を通します。
針に糸を通して、ミシン右手のはずみ車を回して、あるいはペダルを踏んで、ボビンを回転させると、下糸がついて出てきます。
目打ちなどで、下糸を引っ張り出します。
下糸が出てきました。
上糸と下糸は裏側に揃えて置いておきます。
生地を縫う
ここまでくれば、生地を縫うことができます。慣れると苦ではなくなります。
押さえを上げて、生地を置き、押さえを下げて、はずみ車を回すかペダルを踏めば、縫うことできます。
押さえは沢山種類がありますが、わたしはテフロン押さえを1番使っています。ウルトラライトギアによく見る、スルスルした薄い生地をスムースに縫え、縫いズレが起きにくいです。
縫い目の荒さ・細かさは、縫い目調整ダイヤルで簡単に変えることができます。
ジャノメのTA761では、右側に付いています。わたしはこの縫い目調整ダイヤルの存在に、ミシンを買って半年ほど気づかず、縫い目は変えられないものだとばかり思い込んでいました。
さいごに
この記事がアンティークミシンを使ってみたい方の参考になれば幸いです。
アンティークミシンでは、ほぼ直線縫いだけしかできないですが、直線縫いさえできれば大抵のギアは作れるのだと、実際に作ってみて分かりました。
アンティークミシンに限らずですが、ファブリックギアは、ネットを探せば作り方もどこかしらにシェアしてあるので、ミシンがあればMYOGしやすい分野です。Let’s MYOG !